学生の皆さんは夏休みに入ろうかというこの頃、これまで自粛されていた各地のイベントなども3年ぶりに開催、この夏は思い出作りが出来そう、という矢先に第7波の到来、そして過去最高の感染者数などの報告が連日報道され、まだまだこのウイルスとの闘いは出口が見えないことを痛感します。
 医療行政ウオッチでは、今後の医業経営を考えていく上でその方向性が議論されているような政府や中央官庁での情報をピックアップし、目指すべき方向性を考えてまいりたいと思います。
 さて、今年の診療報酬改定において、新型コロナウイルス感染症対応に関する評価が多く盛り込まれました。 代表的なものとして
①感染防止対策加算の見直し…感染対策向上加算へ再編
・感染対策向上加算1、2、3を設定、地域における感染症対策における役割を明確化し、
その活動を評価 (加算1,2はそれぞれ重点医療機関、協力医療機関の指定が必要)
・外来感染対策向上加算(6点)で診療所や在宅でも感染防止対策に対応 
・上乗せの加算として指導強化加算(30点)、連携強化加算(病院30点、診療所3点)、
サーベイランス強化加算(病院5点、診療所1点) 
②重症患者対応への手厚い治療体制などを評価するための高度急性期医療での評価
・重症患者対応体制加算(3日以内750点、4日~7日以内500点、8日~14日以内300
点)の新設
・対外式膜型人工肺(ECMO)(1日につき、初日3万150点、2日目以降3000点)新設 
・重症患者搬送加算(1800点)の新設
 などです。これは、昨年の6月に公開された経済財政諮問会議による「経済財政運営と改革の基本方針2021」いわゆる“骨太の方針”の中で、2.社会保障改革(1)感染症を機に進める新たな仕組みの構築 の項に、~(前略)症状に応じた感染症患者の受け入れ医療機関の選定、感染症対応とそれ以外の医療の地域における役割分担の明確化、~(中略)~できるだけ早期に対応する。(後略)~とあり、これを反映しているのではないでしょうか。
 さて、今年も「経済財政運営と改革の基本方針2022(案)」が公開されました。今年は(社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進)の項において、医療介護費の適正化とともに、医療介護分野でのDXを含む技術革新を通じたサービスの効率化・質の向上を図ることが述べられています。マイナンバーカードの保険証利用推進(保険証の原則廃止)とともに、医療情報の一元化を目指しています。オンライン診療の活用推進、リフィル処方箋も普及・定着のための仕組みの整備を実現する。とあります。
 さて、再来年の診療報酬改定にはこうした意見がどう反映されるのでしょうか。医療機関においては、国や政府が目指している施策にどのように対応していくべきでしょうか。またその中で自施設がどのように地域医療に貢献できるでしょうか。    
今後も本シリーズでは永田町、そして霞が関の動きをウオッチしていきます。


植木 隆之
株式会社名南メディケアコンサルティング シニアコンサルタント 
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