令和5年10月から適格請求書等保存方式(以下、インボイス制度)がスタートします。3回にわたって、社会福祉法人におけるインボイス制度への対応について解説しています。2回目の記事では、インボイス制度の概要と社会福祉法人におけるインボイス制度への対応について解説をいたしました。3回目の今回の記事では、免税事業者の対応と影響について解説いたします。

参考:社会福祉法人におけるインボイス制度への対応①消費税の仕組み

参考:社会福祉法人におけるインボイス制度への対応②制度概要と対応方法


1 消費税の免税事業者とは
 2期前の消費税の課税対象の収入(以下、課税売上高)が1,000万円を超える場合には、消費税を納める義務が発生します。納める義務のある法人のことを課税事業者といいます。1,000万円以下であれば、消費税を納める義務はありません。納める義務のない法人のことを免税事業者といいます(新規で設立された法人など、2期前がない場合や2期前が1年間ない場合については、別のルールがあります)。
 消費税が課税売上となる取引は、主なものとして就労支援事業や生産活動の収入、市町村からの公益事業の委託金収入、不動産賃貸の収入など様々です。

2 免税事業者のパターン別対応方法
①企業や法人から売上を受け取っている場合
 就労支援事業や生産活動、授産事業など、企業や法人から消費税課税となる売上を受け取っている社会福祉法人様も多いと思います。内職や掃除などの作業の請負、パンやクッキーなどの企業販売などがある場合が該当します。また、地域包括支援センターなどからの委託収入を受け取っているような場合や、研修の売上がある法人様も該当します。
このような免税事業者の場合、相手先の企業で仕入税額控除ができなくなるため、相手先の企業が消費税分の損をする可能性があります。相手先の企業のことを優先するのであれば、課税事業者となりインボイス制度に対応するという方法が考えられますが、その分、自法人で課税売上に対する納税負担が発生することになります。まずは、相手先の企業の方針を確認し相談していただくのがよいと思います。
②個人からしか売上を受け取っていない場合
 就労支援事業や生産活動、授産事業などを行っていますが、個人からしか消費税の課税売上を受け取っていない場合があります。また、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、利用者が個人しかいない場合なども考えられます。
このような免税事業者の場合には、個人が仕入税額控除を行うことは考えにくいため、免税事業者を継続することでの影響はほぼないと思われます。

3 免税事業者から課税事業者になった場合の影響
 消費税課税事業者選択届出書と同時に、消費税簡易課税選択届出書を提出した場合の影響額について、計算例を元に説明いたします。
 簡易課税制度は、受け取った消費税を6種類に区分して、それぞれ支払った消費税額を概算(事業により40~90%)で引いて、納付額を計算する制度です。
(計算例)
・パンの製造・販売の売上高 7,560,000円(うち消費税560,000円)、
 掃除の作業の売上高    1,100,000円(うち消費税100,000円)の場合
・納付額の計算方法
560,000円×(1-製造業70%)+100,000円×(1-サービス業50%)=218,000円

 3回にわたってインボイス制度をお伝えしてまいりました。法人の状況によって、対応方法が変わることをご理解いただいた上で、早々に対応をご検討いただければ幸いです。

YouTubeでも社会福祉法人のインボイス対応の動画を公開しております。法人内への周知などに、ぜひご活用ください。



令和4年8月1日時点の情報に基づき記載しております。
上記はあくまでも消費税の計算方法の仕組みを簡易的に記載したものであり、法律上の文言や実際の計算方法とは一部異なります。具体的な計算方法については、顧問税理士にお問い合わせください。

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