最近の霞が関での医療行政での検討事項と言えば、6年間の計画期間が2023年に終了する第7次医療計画を受けた第8次医療計画の策定、そして2024年度の診療報酬と介護報酬のダブル改定、などです。(現在の第7次医療計画が策定されたのも前回の医療/介護同時改定の平成30年でした。)
 今回は第8次医療計画策定に向けての議論についてウオッチします。

「第8次医療計画に関する検討会」初会合が2021年6月18日に開催されました。ここでは、基本方針作成に向けたスケジュールや枠組みが示され、3つのワーキンググループ(以降WG)(「地域医療構想および医師確保計画」「外来機能報告」「在宅医療および医療介護連携」を立ち上げて各テーマについて検討、それらを踏まえて2022年末の取りまとめを目指すとされました。
 この3つのWG、
 「地域医療構想および医師確保計画」
「外来機能報告」
「在宅医療および医療介護連携」
が第8次医療計画の大きな柱、ということです。それぞれのWGの会合が7月以降開催されています。

特に今回は「外来機能報告」についてが、今回注目の議論でしょうか。改正医療法を受けて、外来機能の明確化と連携を図る「外来機能報告」が秋ごろから対象医療機関に対して依頼されるスケジュールとなっています。「医療資源を重点的に活用する外来」、「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」という、新たな言葉も出てきました。
これは2022年度診療報酬改定で、紹介状なしで受診する場合等の定額負担の見直しに際し、いわゆる紹介状なし患者に定額負担を徴収する医療機関として特定機能病院、一般病床200床以上の地域医療支援病院に追加して、新たに「紹介受診重点医療機関(一般病床200床以上に限る)」が追記されましたが、この定額負担に該当する病院が「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」にほぼ該当するものでしょう。(もちろん特定機能病院、地域医療支援病院も)

「紹介受診重点医療機関」とは?

1.報告項目(「外来機能報告」を基に)
 ○「医療資源を重点的に活用する外来(重点外来)」等の実施状況
・医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来
・高額等の医療機器、設備を必要とする外来
・特定の領域に特化した機能を有する外来
○紹介・逆紹介の状況
○紹介受診重点医療機関となる意向の有無
○その他、地域の協議の場における外来機能の明確化・連携の推進のための必要な事項

2.公表までの流れ
①医療資源を重点的に活用する外来に関する基準(※)を満たした医療機関については、紹介受診重点医療機関の役割を担う意向を確認し、紹介率・逆紹介率等も参考にしつつ協議を行う。
(※)初診に占める重点外来の割合40%以上 かつ再診に占める重点外来の割合25%以上
②医療資源を重点的に活用する外来に関する基準を満たさない医療機関であって、紹介受診重点医療機関の役割を担う意向を有する医療機関については、紹介率・逆紹介率等(※)を活用して協議を行う。
(※)紹介率50%以上及び逆紹介率40%以上
③協議が整った場合に、紹介受診重点医療機関として都道府県が公表する。
病院から報告のある「外来機能報告」の実績と、医療機関自身が「紹介受診重点医療機関」となる意向を受け、「紹介受診重点医療機関」として公表されるということです。

 さらに紹介状なしで受診する場合の定額負担、または紹介受診重点医療機関入院診療加算などの診療報酬、経済的なインパクトもあります。(プラスなのかマイナスなのかどちらのインパクトがあるかはシミュレーションの必要があります)
該当する機能を持つ病院における「外来の機能」、またそれ以外の病院における「外来の機能」について、入院機能と合わせて、自院の立ち位置などを見直す契機となるでしょう。


引き続き本シリーズでは永田町、そして霞が関の動きをウオッチしていきます。 


植木 隆之
株式会社名南メディケアコンサルティング シニアコンサルタント 
薬剤師・中小企業診断士
〒450‐6333
名古屋市中村区名駅1丁目1番1号 JPタワー名古屋33F
e-mail t-ueki@meinan.net
mobile 080-1605-6339
TEL 052-589-2301  FAX 052‐589‐2330