今回は、介護報酬改定の対応(その4)として、「業務継続に向けた取組の強化」についてお話します。

 令和3年度介護報酬改定では、全サービスにおいて、「感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、全ての介護サービス事業者を対象に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づける。その際、3年間の経過措置期間を設けることとする。」とされました。

 介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン(厚生労働省)では、「BCPとは、Business Continuity Plan の略称で、業務継続計画などと訳されます。新型コロナウイルス等感染症や大地震などの災害が発生すると、通常通りに業務を実施することが困難になります。まず、業務を中断させないように準備するとともに、中断した場合でも優先業務を実施するため、あらかじめ検討した方針、体制、手順等を示した計画とされています。

 東日本大震災以降、一般企業において、事業継続計画(BCP)の作成と事業継続していくための対策が進んできています。また近年では、医療介護現場において、災害や感染症により業務を継続することが困難な事例が多くなってきている中で、よりリアルな対策、対応を日頃から備えておくことが制度的にも求められることになります。

 すでにご存じの方も多いかと思いますが、国からは、「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」や「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」示され、各事業所においても業務継続計画の作成、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施を支援する体制が示されています。

 自然災害については、特に施設・事業所ごとの地域性が大きく影響することとなります。上記のガイドラインを参考に作成するとしても各事業所の地域によって水害や震災など想定される自然災害は異なるので、地域の実情に合わせた対応が必要ということになります。

今回の項目についても、事業所ごとの運営規程について変更が必要となります。業務継続計画を作成し、法人内、事業所内での運用の取り決めをした上で、今回の改定内容を踏まえた変更を行いたいところです。具体的な記載例は以下のような文面の追記をする必要があります。

【記載例】(業務継続計画の策定等)
第●条 事業所は、感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する指定居宅介護支援の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い、必要な措置を講じるものとする。
2 事業者は従業者に対し、業務継続計画について説明、周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施するものとする。
3 事業所は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。

参考サイト:介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修

………………………………………………………………………………………………………

株式会社名南メディケアコンサルティング 

シニアコンサルタント 川瀬 大輔

〒450-6333  愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番1号 JPタワー名古屋33F

TEL : 052-589-2301 FAX : 052-589-2316  E-mail : d-kawase@meinan.net