「デジタル臨時行政調査会(以下デジタル臨調)」とは、デジタル化の急速な進展が世界にもたらす根本的な構造変化、発展可能性の拡大を踏まえ、デジタル改革、規制改革、行政改革に係る横断的課題を一体的に検討し実行することにより、国や地方の制度・システム等の構造変革を早急に進め、個人や事業者が新たな付加価値を創出しやすい社会とすることを目的として令和3年11月16日第1回として現在(令和4年12月時点)第5回開催されています。
 設置の背景としては、わが国のデジタル化の遅れを指摘しています。官民を通じたデジタル化の遅れは深刻で、既存の様々な“規制“がその要因としています。そのため、デジタル化をさらに推進するためには、規制・行政の在り方を含めた本格的な構造改革をする必要があるとしています。
デジタル臨時行政調査会について(その1)

(第1回デジタル臨時行政調査会資料よりhttps://www.digital.go.jp/councils/administrative-research/54yivy_u/

そこで、今回は、デジタル臨調での医療介護分野における議論について少しご紹介したいと思います。
医療・教育などの重要な社会システムの問題
 コロナ禍において、健康・医療システムの緊急時に対応が課題に。
 オンライン診療などを実行する上での仕組みや体制が不十分であること。

介護分野でのデジタル化に伴う規制の見直しの先行事例としては、「サービス付き高齢者向け住宅における有資格者の常駐要件の見直し」です。サービス付き高齢者向け住宅の登録する場合、施行規則第11条において、有資格者等が、夜間を除き、サ高住の敷地又は当該敷地に隣接し、若しくは近接する土地に存する建物に常駐し、状況把握サービス及び生活相談サービスを提供することを登録基準として規定していますが、令和4年7月20日の「国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則の一部を改正する省令」等が公布され、令和4年9月1日から施行されました。
 その理由には、自立した高齢者の入居などもあるものの、別途要件を満たせば有資格者等が常駐しないことも可能としています。
①各居住部分への訪問その他の適切な方法により、毎日1回以上、状況把握サービスを提供すること。(適切な方法とは、電話、居住部分内での入居者の動態を把握できる装置による確認、食事サービスなどの提供時における確認等、資格者が能動的に入居者を把握する方法
②各居住部分に、入居者の心身の状況に関し必要に応じて通報する装置(緊急通報装置)を設置
③夜間を除き、生活相談サービスを電話その他の適切な方法により提供すること。
その他の適切な方法とは、テレビ電話装置等の情報通信機器による対応等とし、入居者が能動に有資格者等に相談できる方法とする。
となっています。
他にも詳細の規定はありますが、デジタル技術を活用した要件の見直しが実際に導入された事例として紹介されています。規制の緩和は、緩和されるまではできないことが、緩和されることで、できることに代わることがでてきます。今後さらに、デジタル化による規制緩和が拡大することが予想されますので、情報には敏感でありたいものです。
 次回は、具体的にデジタル臨調でどのような議論がされており、今後どのような規制が緩和されるかについて触れたいと思います。


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