入院するとついてくる食事。一般的に味気ないがないとか、おいしくな~いって印象のなる入院時の食事。簡単に食事を作って出すだけって思われがちな食事ではありますが、保険医療機関で、入院した時の提供される食事は、一定の質を保つことが求められ、提供するためには、多くの基準をクリアしなければならない。かなり難易度の高い食事といっても過言ではありません。そこで、入院時食事療養費というものについて今回は取り上げ、食事の提供基準及びお金の仕組みについてご紹介します。

 入院時食事療養費は、医療法上の療養病床以外の病床に入院するすべての入院患者及び「療養病床に入院する65歳未満の患者」に対して提供する食事のことを指し、円単位で請求します。
 ちなみに65歳以上である場合は、入院時生活療養費を算定することになっています。この場合の入院時食事療養費や入院時生活療法費につちえは、消費税非課税扱いになっています。

「入院時食事療養」は、入院している患者に食事療養を行った場合に算定できます。
この制度は、一定の条件を満たすか否かでIとIIに分けられ、保険医療機関(病院)単位で決まっています。

【入院時食事療養費の決まり事(基準)】
 〇保険医療機関(病院)単位で指定されます。(指定が必要)
 〇管理栄養士又は栄養士によって行われる
 〇年齢、病状によって適切な“栄養量“内容の食事の提供が、”適時“にかつ”適温“で提供
 〇地方厚生局へ届出を行っていること。(提出時点で不正等の届出を行ったことがない)
 〇入院時食事療養費(Ⅰ)の基準を届出しない保険医療機関が(Ⅱ)を算定する。
 〇提供食数(日報・月報)、食事箋、献立表、患者入退院簿、食料品消費日計表等の入院時食事療養や
  食事の提供たる療養関係の帳簿の整備。
 〇適温とは、夕食の時間が午後6時以降であること。多少のばらつきは、や無得ないが、最初の病棟
  において患者に夕食が配膳される時間は午後5時30分より後である必要がある。
 〇保温食器等を用いた適温の食事の提供。保温・保冷配膳車などや食堂での対応
 〇職員の提供される食事と患者の提供される食事との区分が明確  
 上記の様に細かな決まりがありますので、注意が必要です。当然届出を行っていないと入院時
 食事療養費(Ⅰ)の算定はできないことになります。適温については、人員不足の対応として、
 夕方の5時半前からの食事提供を合理的に行ってしまうなどの事例がたまに見受けられますが
 これは、“適時“の提供の規定にあっていないことになりますので、注意が必要です。

 入院時食事療法費については、特別食加算及び食堂加算があります。特別食加算とは、
以下のような疾患に対する食事を提供した場合に加算が算定できます。
【特別食加算 76円】
  食事箋に基づいて、厚生労働省が定める(腎臓食,肝臓食,糖尿食,胃潰瘍食,貧血食,膵臓食,
 脂質異常症食,痛風食,てんかん食,フェニルケトン尿症食,メープルシロップ尿症食,ホモシスチン
 尿症食,ガラクトース血症食,治療乳,無菌食,特別な場合の検査食(単なる流動食および軟食を除
 く)疾病に対する食事
【食堂加算 50円】
  食堂加算とは、他の病棟に入院する患者との共用、談話室等との兼用は差支えない。ただし、当該加
 算に該当する食堂の床面積は、内法で1床当たり0.5㎡以上となっています。また入院中の患者のうち、
 食堂における食事が可能な患者については、食堂において食事を提供するように努めることになってい
 ます。
【算定額】
(1)入院時食事療養費(Ⅰ)
 ⅰ ⅱ以外の場合         640円/1食
 ⅱ 流動食のみを提供する場合   575円/1食
  ・特別食加算            76円/1食
  ・食堂加算(1日につき)         50円/1日
(2)入院時食事療養費(Ⅱ)
 ⅰ ⅱ以外の場合         506円/1食
 ⅱ 流動食のみを提供する場合   460円/1食

 保険医療機関での算定は、
  1日 流動食以外の場合      640円×3食=1,920円
    流動食のみを提供する場合  575円×3食=1,725円 の収入
    これに、特別食加算や食堂加算などが加算されます。

 これに対し患者負担が設定されていますので、医療機関としての収入は、上記の金額を上限で、
患者負担はその内訳ということになります。
 また、流動食の場合には、患者が経口摂取(口から物を食べること)不能のために、鼻腔栄養を
行った場合に、以下の点に気を付ける必要があります。
①薬価収載されている高カロリー薬を経鼻経管的に投与した場合は、鼻腔栄養の手技料及び薬剤を
算定し、食事療養に係る算定はできません。
②薬価収載されていない流動食の提供をした場合には、鼻腔栄養の手技料の算定及び食事療養に係
る費用(入院時食事療養費)を算定します。
③薬価収載されている高カロリー薬と薬価収載されていない流動食を併せて利用する場合は、①又
は②のいずれかを算定する。
 
最後に患者負担について
 前述の入院時食事療養費については、全額本人負担をすることにはなっていません。患者は、一定
の定められた患者負担を負担することで、食事提供を受けることができるような仕組みとなっていま
す。
【患者負担】
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【自己負担額適用区分】
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