医療介護DXの言葉をよく聞くようになってきましたが、国が進めているDXの軸が、デジタル臨時行政調査会(以下「デジタル臨調)」です。令和5年通常国会に向けて、12月21日デジタル規制改革推進のための一括法案が議論されています。今日は、その中で医療介護福祉分野でのアナログ規制の見直しの例が示されていますので、ご紹介いたします。
【医療分野】
●病院等における管理者の常駐について 2023年3月
(参考)病院、一般・歯科診療所数:約18万施設(2022年7月末時点)
病院等の管理者は、原則、勤務時間中病院等に常時滞在しなければならないが、デジタル技術の活用等により、病院等の管理体制が確保されているなどの要件の下で、常時滞在を求めないことを明らかにする。
●一般用医薬品の販売等を行う店舗における薬剤師等の常駐 2024年6月
(参考)店舗販売業の施設数:約3万施設(2020年度末時点)
店舗販売業の許可要件として、有資格者等の設置を求めている現行制度について、デジタル技術の利用によって、販売店舗と設備及び有資格者がそれぞれ異なる場所に所在することを可能とする制度設計の是非について、消費者の安全確保や医薬品へのアクセスの円滑化の観点から、検討し、結論を得る。
●医療機関入院時の差額ベッド等の内容等に係る掲示:2024年6月まで
医療機関入院時における選定療養(差額ベッド等)の内容や費用に関する情報について、国民の利便性向上の観点から、入院前でも時間・場所を問わず内容を確認できるよう、インターネットを利用した閲覧を可能とする。
●医療法人の書類の閲覧:2023年4月まで
現在、都道府県において請求に応じて書面により行われている医療法人の事業報告書等の閲覧について、請求から閲覧までの手続を一貫してインターネットの利用により行うことを可能とし、国民の利便性の向上を図る。

の項目が医療の場面での規制改革の案として項目と具体的なスケジュールが示されています。この中で医療機関の日常の業務で影響がある物自体は少ないようです。
 前述の中では、医療機関の管理者の常駐要件が緩和されるようです。オンライン等が進み、管理するのに現場にいなくてもできるという視点に立った改善項目です。
 医療機関の入院時の差額別途等の費用の情報もインターネットで見ることができるようになれば、患者さんとしては、とても便利な仕組みと言えます。逆に言えば、医療機関の差額ベッド料はあまり明確になっていなかった情報でもあり、ある意味そこに光が当たる改革とも言えます。
 決算届については、すでに一部の医療法人で実施されていますね。会計データから数字がそのまま転記されていくと考えると決算届の作成は効率化される形で若干医療機関側、会計事務所としては簡略化が見込まれます。
 また、県庁には、データとして管理されていきます。ただ、現状は閲覧等県庁や保健所へ足を運ばなければならいようになっていますが、これがインターネット等で外部から閲覧ができるようになるとすれば、恩恵としては、行政側が医療法人の経営状況を管理する上ではかなり効率化が進むことになり、かつその情報を閲覧する側の利便性が上がる項目ですね。
 こういった内容が改革されていくことは、行政にとっては、とても重要なことで行政の効率化によって人手不足に対応していく流れが待ったなしであるという印象になりますね。
行政の本気度がうかがえますね。

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