~制度延長までの流れ~
平成26年度税制改正により創設された認定医療法人制度ですが、3度目の延長が予定されております。
令和5年税制改正大綱は令和4年12月16日に公表され、政府は令和5年2月3日に令和5年度税制改正関連法案を閣議決定し、国会へ提出しました。例年の流れでは、令和5年4月1日施行を予定しております。
しかし、認定医療法人制度は税制改正のみでは効力が伴わず、厚生労働省公表の大綱では、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の改正」を前提に適用期限を令和8年12月末まで延長することとしております。
令和5年2月24日に開催された第96回社会保障審議会医療部会の資料によると、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案に含まれることとなり、こちらも令和5年2月10日に法案が閣議決定され、国会へ提出されております。施行期日は原則令和6年4月1日とされている中、認定医療法人制度については公布日もって施行日とするとされております。
~『認定医療法人制度』とは~
持分あり医療法人においては、出資者の死亡や退社により持分払戻請求が行われ、医業継続が困難になることが想定され、現実問題として、持分払戻請求や死亡による相続税納付のために医療法人を解散せざるを得ない事態もありました。これらの問題を捨て置けないとして、持分あり医療法人が持分なし医療法人に円滑に移行し、引き続き地域医療の担い手として継続していけるよう、厚生労働省が措置を行ったものです。具体的には、所定の要件を満たし、厚生労働大臣に認定を受けた上で持分なし医療法人へ移行した際には税制上の優遇を受けることができるといったものです。
~どこが変わったのか?~
令和2年度税制改正から大きく変わった点はなく、制度自体が3年3ヶ月延長したという点と、従来3年とされていた移行期限について、期限内に移行できなかった法人があったことから、5年に延ばすことで移行促進を促進したいようです。
~制度のポイント~
認定医療法人となるためには、以下の11項目の要件を満たしている必要があります。
1.社員総会の決議があること
2.移行計画が有効かつ適正であること
3.移行計画期間が3年以内であること(←令和5年10月以降は5年以内<予定>)
4.法人関係者に特別な利益を供与しないこと
5.役員報酬について不当に高額にならないように定めていること
6.社会保険診療報酬に係る収入等が全体の80%超であること
7.株式会社等に対して特別の利益を与える行為を行わないこと
8.遊休財産額が事業費用の額を超えていないこと
9.法令に違反する事実、帳簿書類等に仮装隠蔽がないこと
10.自費が社会保険診療報酬と同一の基準により計算されること
11.事業収益が事業費用の150%以内であること
この11要件を認定時だけでなく、持分なし医療法人への移行後6年間維持する必要があります。よって、普段から要件を満たしているかチェックを行っていること、また、6年間維持するためにも、出資持分の所有者が壮健であるうちに早めの移行を検討することが求められます。
~要件を満たすことができなくなった場合~
後継者が存在し、出資持分の評価が多額となってしまっている医療法人にはとても有効な本制度ですが、非常に大きな税制上の優遇措置を取られている分、要件を満たすことができなくなった場合は、認定が取り消され、遡って贈与税が課税されることとなります。
そのため、医療法人の意思決定権を持つ社員間で十分な検討と覚悟そして、顧問税理士との連携がポイントとなろうかと思われます。
税理士法人名南経営 メディケアコンサルティング部 サブマネージャー
情家拓馬
※認定医療法人について詳しく知りたいという方は随時相談会(WEBも可)を実施しておりますのでお気軽にお問合せください。
https://www.meinan-iryokaigo.jp/event/5/
平成26年度税制改正により創設された認定医療法人制度ですが、3度目の延長が予定されております。
令和5年税制改正大綱は令和4年12月16日に公表され、政府は令和5年2月3日に令和5年度税制改正関連法案を閣議決定し、国会へ提出しました。例年の流れでは、令和5年4月1日施行を予定しております。
しかし、認定医療法人制度は税制改正のみでは効力が伴わず、厚生労働省公表の大綱では、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の改正」を前提に適用期限を令和8年12月末まで延長することとしております。
令和5年2月24日に開催された第96回社会保障審議会医療部会の資料によると、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案に含まれることとなり、こちらも令和5年2月10日に法案が閣議決定され、国会へ提出されております。施行期日は原則令和6年4月1日とされている中、認定医療法人制度については公布日もって施行日とするとされております。
~『認定医療法人制度』とは~
持分あり医療法人においては、出資者の死亡や退社により持分払戻請求が行われ、医業継続が困難になることが想定され、現実問題として、持分払戻請求や死亡による相続税納付のために医療法人を解散せざるを得ない事態もありました。これらの問題を捨て置けないとして、持分あり医療法人が持分なし医療法人に円滑に移行し、引き続き地域医療の担い手として継続していけるよう、厚生労働省が措置を行ったものです。具体的には、所定の要件を満たし、厚生労働大臣に認定を受けた上で持分なし医療法人へ移行した際には税制上の優遇を受けることができるといったものです。
~どこが変わったのか?~
令和2年度税制改正から大きく変わった点はなく、制度自体が3年3ヶ月延長したという点と、従来3年とされていた移行期限について、期限内に移行できなかった法人があったことから、5年に延ばすことで移行促進を促進したいようです。
~制度のポイント~
認定医療法人となるためには、以下の11項目の要件を満たしている必要があります。
1.社員総会の決議があること
2.移行計画が有効かつ適正であること
3.移行計画期間が3年以内であること(←令和5年10月以降は5年以内<予定>)
4.法人関係者に特別な利益を供与しないこと
5.役員報酬について不当に高額にならないように定めていること
6.社会保険診療報酬に係る収入等が全体の80%超であること
7.株式会社等に対して特別の利益を与える行為を行わないこと
8.遊休財産額が事業費用の額を超えていないこと
9.法令に違反する事実、帳簿書類等に仮装隠蔽がないこと
10.自費が社会保険診療報酬と同一の基準により計算されること
11.事業収益が事業費用の150%以内であること
この11要件を認定時だけでなく、持分なし医療法人への移行後6年間維持する必要があります。よって、普段から要件を満たしているかチェックを行っていること、また、6年間維持するためにも、出資持分の所有者が壮健であるうちに早めの移行を検討することが求められます。
~要件を満たすことができなくなった場合~
後継者が存在し、出資持分の評価が多額となってしまっている医療法人にはとても有効な本制度ですが、非常に大きな税制上の優遇措置を取られている分、要件を満たすことができなくなった場合は、認定が取り消され、遡って贈与税が課税されることとなります。
そのため、医療法人の意思決定権を持つ社員間で十分な検討と覚悟そして、顧問税理士との連携がポイントとなろうかと思われます。
税理士法人名南経営 メディケアコンサルティング部 サブマネージャー
情家拓馬
※認定医療法人について詳しく知りたいという方は随時相談会(WEBも可)を実施しておりますのでお気軽にお問合せください。
https://www.meinan-iryokaigo.jp/event/5/
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