2024年改定は、6年に1度の診療報酬と介護報酬の同時改定。同時改定にむけて、医療と介護の連携に関する意見交換会第2回が令和5年4月19日に開催されました。
 テーマは、①高齢者施設・障害者施設等における医療と②認知症です。現在のところ議事録は掲載されておりませんが、提出された資料から次期改定の議論の一端を紐解いていきたいと思います。
 高齢者施設・障害者施設等における医療について
 近年、介護、障害分野において利用者の重度化や高齢化に伴う支援体制への充実や評価、医療的ケアを必要とする利用者に対する日中のサービス提供体制への評価等が行われてきました。介護施設においては、医療との連携は今後さらに重要になってきており、医療ニーズの増大、看取りへの取組の推進が進められてきています。高齢化が更に進む中、介護ニーズの要介護者は、今後さらに医療ニーズを併せて必要としているケースが増大することが危惧されています。
 政策上では介護療養型医療施設が廃止され、介護医療院等への施設への移行が完了することが見込まれる中、介護医療院での医療提供の在り方や評価、並びに医療機関としての意味をもつ、老人保健施設での医療提供の在り方なども充実を図ってきているものの、今後さらに医療機関との連携がもとめられていきます。
 また特別養護老人ホームや特定施設などの生活施設においての医療ニーズへの対応も課題であることが示されています。医師の配置が非常勤や、そもそも義務付けられていない特定施設や認知症対応型グループホーム等における医療ニーズへの対応が課題として示されました。
 第1回の意見交換会でも話し合われてきましたが、要介護等高齢者に対応した急性期入院医療が議論され、そこで指摘されていたのが、急性期一般病床に入院している入院患者の64%が75歳以上となっている現在。今後さらに高齢者が増え、同様の割合で急性期病床に入院するとなると、本来の救急医療を必要とする患者への医療提供体制に影響がでることが懸念されています。安易に急性期医療への転院を選択せず、介護施設等の中での医療対応能力を引き上げていきたいというところが想定されます。
 ここから考えると・・・・今後高齢者施設は今まで以上に医療提供施設の密にする必要があり第一選択が救急車ではなく、緊急時に往診してもえる在宅医療の提供施設や訪問看護ステーションとの連携が一層必要となりそうです。

 認知症について
 今後高齢者が増加する中で、同時に増えていくことが予測されているのが、認知症高齢者です。2025年は、65際以上の高齢者の5人に1人、約700万人認知症高齢者となり、さらに2040年には、800~950万人に達することが予測されています。認知症の特性上、介護者への負担は大きく、地域社会の中で馴染みの暮らし方が継続できるような取組を地域包括ケアシステムの中で構築していくことが必要とされています。
 具体的には、認知症ケアに関わる側の認知症ケアに対する対応能力の向上のための研修等の充実を図っていきます。令和3年度の介護報酬改定においても無資格な介護職員に対する認知症研修が必須化されたところです。
 主な課題としては、地域包括ケアシステムにおける認知症への対応として早期発見、早期対応が重要であり適時適切に医療と介護を受けられる体制の構築が重要で地域で支える仕組みを構築していくことが重要であり、医療機関や介護保険施設等における認知症の人への対応の強化。医療介護の情報連携を今後さらに強化していくことなどが上げられています。
 今後認知症ケアへの対応能力が介護施設にも医療機関にも求められて行くことが必至で、認知症だから・・・断るということにならないような施設としての対応能力を備えておく必要がありそうです。
 第3回の意見交換会は、5月18日 テーマは「人生の最終段階における医療・介護」「訪問看護」についてです。高齢者人口が増えていく中で、介護分野だけでは解決できない医療介護ニーズを合わせもつ高齢者が急増することが予測される今後を見据え、診療報酬、介護報酬の改定が検討されることになります。

参考サイト:令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000162533_00002.html

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