いよいよ診療報酬及び介護報酬の議論が開始されました。6月28日からいよいよ各サービスの現状と課題、論点が示され要注目というところですが、まずは大きな方向性について5月28日の令和6年度改定のテーマについて触れてみたいと思います。令和3年度の際の介護報酬改定のテーマと今回示されたテーマを比較してみます。
令和3年度は、以下の5点 
1.感染症や災害への対応力強化
2.地域包括ケアシステムの推進
3.自立支援・重度化防止の取組の推進
4.介護人材の確保・介護現場の革新
5.制度の安定性・持続可能性の確保 

令和6年度のテーマは、
1. 地域包括ケアシステムの深化・推進
2. 自立支援・重度化防止を重視した質の高い介護サービスの推進
3. 介護人材の確保と介護現場の生産性の向上
4. 制度の安定性・持続可能性の確保

 テーマの違いは、上記太字下線部。地域包括ケアシステムの更なる推進が示され、自立支援、重度化防止については、さらに“質の高い介護サービス”という言葉が追加されました。また介護現場の革新から、生産性の向上になっています。
 ここに次期改定の方向性が示されていると考えることができるのではないでしょうか?
日本の人口推移の特徴は、地域格差です。大都市部から地方まで様々な実情があり、それに応えるためには、まさしく地域のニーズに合わせた地域包括ケアシステムの理念を更に進めていくことで、いわゆる総合事業の推進と言い換えることができるかもしれません。
 また、“質の高い介護サービス”とは何を意味するのでしょうか。平成22年3月財団法人日本公衆衛生協会の「介護サービスの質の評価のあり方に係る検討会に向けた報告書」では、質の高い介護サービスとは、「利用者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすること」という介護保険の理念としつつも、介護報酬上の質の評価としては、サービス提供体制強化加算、特定事業所加算、在宅復帰機能支援加算、事業所評価加算などが示されています。また外部評価などの仕組みが介護の質を担保するものと言えるかと思います。次期介護報酬改定において、質の高い介護サービスが更に推進されるということは、少なくとも現行介護報酬上の加算において、積極的な算定を検討することが改定への対策ということになると思われます。
 介護現場の生産性の向上については、介護現場の慢性的な人不足が理由であり、その対応については、各現場で四苦八苦しながらも対応をしているというところかと思いますが、そこにICT等の技術の導入やそもそもの介護の提供方法の見直しなど今後さらに人不足が想定されることを考慮すると、そうした効率性も事業所にはさらに求められることが予想されます。

 6月28日~始まりました、各サービスの現状のおさらいと論点が示されていきます。現状の自施設のポジショニングを把握する上でも重要な報告がされていますので、今後もご紹介していきたいと思います。

第217回 社会保障審議会 介護給付費分科会
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001099978.pdf

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